ムダ毛の自己処理は何かと面倒なものです。
しかも、カミソリや毛抜きでそれを行うと皮膚を痛める危険もあります。
その点、クリニックやエステで脱毛すれば、自己処理の手間やトラブルからも解放されます。
しかし一方で、脱毛にはかなりの痛みが伴うというイメージがあり、その点に不安を感じているために、実行に移せないという人も多いのではないでしょうか。
逆に言えば、痛みを感じる仕組みやそれを軽減させる方法がわかれば、脱毛を受けることに前向きになれるはずです。
そこで、この記事では主な脱毛方法と、痛みの問題について解説します。
脱毛の種類とは?
クリニックや脱毛サロンの脱毛にもいくつかの種類があり、それによって痛みの度合いも変わってきます。
脱毛に伴う痛みについての理解を深めてもらうために、まずは主な脱毛の種類について説明します。
光脱毛
脱毛サロンで一般的に行っている脱毛方法が光脱毛です。
しかし、光脱毛のなかにも複数の種類が存在するため、実際にどのようなものがあるのかについて紹介します。
IPL脱毛
脱毛サロンで行われている光脱毛のなかでも、特にメジャーな方法として知られているのがIPL脱毛です。
IPLとはインテンス・パルス・ライトの略であり「強くて瞬間的な光」という意味があります。
その仕組みは黒い色素に反応する光を照射し、毛根の一番奥にある毛乳頭に熱を与えるというものです。
そのことによって、毛乳頭はダメージを受け、たんぱく質が熱変性を起こします。
そうすると、ムダ毛が不再生化して生えにくくなるというわけです。
また、IPL脱毛は一度で照射できる範囲が広いため、一点に集中照射するタイプに比べて肌へのダメージも少なく、照射スピードも速いという特徴があります。
SSC脱毛
SSCとはスムーススキンコントロールの略です。
イタリアの医療メーカーが開発した脱毛法であり、脱毛したい部分に特殊なジェルを塗ってから光を照射します。
ジェルの中にはトレジャービーンズという小さなカプセルが無数に含まれており、光を照射することでそれが弾ける仕組みになっています。
そして、カプセルの中の有効成分が光の熱で開いた毛穴の中に浸透し、ムダ毛を抑制するというわけです。
ちなみに、これはムダ毛を生えさせないようにするのではなく、徐々に細くしていって毛の再生を抑えていくというものです。
そのため、正確には脱毛ではなく、制毛と呼ばれています。
光はジェルにだけ反応するため、痛みは少なくてすみます。
また、ジェルに含まれている保湿成分で肌の乾燥を防ぐことができ、さらに、細かい毛や産毛にも効果がある点も大きなメリットです。
SHR脱毛
SHRとはスーパーヘアリムーバルの略で、直訳すると「超脱毛」という意味になります。
蓄熱式脱毛とも呼ばれており、毛包全体に光を照射する最新の脱毛法です。
毛包内にはバジル領域と呼ばれる、発毛に必要な細胞を作り出す組織があります。
つまり、毛包全体に光をあてることで、新しいムダ毛が生えてくるのを抑えようというわけです。
今生えている毛に作用するわけではないため、ほかの脱毛法のように数週間経てば毛が次々と抜け落ちていくわけではありません。
自然に抜け落ちたあとで新しいムダ毛が生えにくくなるのです。
また、光を照射したときの痛みがほとんどなく、温かく感じる程度だというのも、この脱毛法ならではのメリットです。
医療レーザー脱毛
黒い色のみに反応するレーザーを照射し、その熱で毛根を破壊するのがレーザー脱毛です。
基本原理は光脱毛と同じなのですが、エステや脱毛サロンで使用されている照射機よりもパワーが強いという特徴があります。
そのため、毛根部分にダメージを与えるだけでなく、完全に破壊することができるのです。
ちなみに、パワーの弱い光脱毛ではムダ毛を目立たなくすることはできても、すべてなくすのは困難です。
それに対して、医療レーザー脱毛を行うと、永久脱毛にかなり近い状態を目指すことができます。
ニードル脱毛
針脱毛とも呼ばれるニードル脱毛は毛穴に極細の針を刺し、電流を流すことで毛根を破壊します。
昔はクリニックでの脱毛といえば、このニードル脱毛を指していました。
しかし、医療レーザー脱毛が主流となり、ニードル脱毛を行っているクリニックは少なくなっています。
ニードル脱毛の場合、毛根を確実に破壊できるので、永久脱毛の効果があります。
その一方で、毛穴を一つひとつ処理しなくてはならないため、施術に時間がかかるというのが弱点です。
また、電流を流した際にはかなりの痛みを伴いますが、クリニックなら麻酔をしてもらうことができます。
脱毛時に痛いと感じる理由とは?
光脱毛も医療レーザー脱毛もムダ毛の黒色に反応することで熱が生じ、毛根にダメージを与えるという点では同じです。
その際に、毛根周辺の皮膚にも熱や刺激が伝わって痛みを感じるというわけです。
もちろん、その痛みは常に同じというわけではありません。
肌が薄い場所や骨が近い場所などは熱や刺激がダイレクトに伝わるために痛みも強く感じることになりますし、個人差によっても痛みの感じ方は異なってきます。
また、レーザー脱毛と光脱毛では照射する出力が弱い後者のほうが痛みは少ないはずです。
ただ、黒のみに反応するレーザー脱毛に対して、光脱毛は多くの波長エネルギーをまとめて照射するため、場合によってはレーザー脱毛より強い痛みを感じるケースもあります。
脱毛時に特に痛いと感じる部位
脱毛時に感じる痛みの強さは部位によって異なります。
あまり痛みを感じない部位もあれば、ちょっとした刺激で痛みを感じてしまうところもあるわけです。
施術中の痛みが心配だという人のために、特に痛みを感じやすい部位について説明します。
VIO
脱毛時の痛みは皮膚が薄いほど、またはムダ毛が太くて濃いほど強く感じるものです。
VOIゾーンは、この2つの条件を満たしているうえに、ムダ毛が密集しているという特徴があります。
そのため、ほかの部位よりも強い痛みを感じる人が多いというわけです。
さらに、IOラインに関していえば、その範囲は狭いものの、粘膜が近くにあるので特に痛みを感じやすくなっています。
痛みの感じ方には個人差がありますが「輪ゴムではじかれたような痛み」あるいは「針を刺されたような痛み」といった表現がよくされています。
その一方で、ほとんど痛みを感じない人も少なくありません。
顔
顔は皮膚が薄いために、全体的に痛みを感じやすい部位です。
ただ、顔のどの部分かによっても痛みの大きさは変わってきます。
たとえば、眉毛周辺は毛が濃いので、強い痛みを感じやすいといった具合です。
そのため、ほほより上は施術をしないクリニックやサロンも存在します。
また、光脱毛やレーザー脱毛は黒色に反応して発熱するため、ほくろに直接照射すると火傷を負いかねません。
それを防ぐために、施術の際には事前にテープを貼るのですが、それでも光に反応して痛みを感じる場合があります。
関節周辺
骨ばっていて皮膚の薄い部位は一般的に痛みを感じやすいものです。
具体的には膝、肘、くるぶしなどの関節周辺がそれにあたります。
特に、膝は膝下と同様に濃い毛が生えやすいのでレーザーや光が反応しやすく、痛みが強くなる傾向にあります。
実際に施術を受けてみると骨が痛いと感じる場合がありますが、これは骨の近くで痛みが生じているだけであり、決して骨そのものに痛みが走っているわけではありません。
それに、部位としての範囲は広くないため、照射の回数は少なくてすみます。
痛いほうが脱毛効果は高いの?
光やレーザーの出力を高くすると、それだけ強い痛みを感じやすくなります。
そのため、痛みが強ければ強いほど脱毛効果が高いように思われがちです。
たしかに、高出力のほうが脱毛しやすいのは事実ですが、痛みの感じ方には個人差もあるため、必ずしも痛いから効果が高いというわけではないのです。
それでも、出力が高いほど効果があるのなら、たとえ痛みが強くなっても我慢して高出力で施術を行ったほうがよいと考える人もいるかもしれません。
しかし、忘れてはならないのが肌への負担です。
出力が高くなるほど負担は大きくなり、肌のコンディションによってはやけどのような状態になってしまうおそれもあるのです。
そのため、肌やムダ毛の状態を医師やサロンのスタッフに判断してもらい、そのときに合った出力で施術を受けるのが賢明だと言えます。
脱毛時に「痛い」と感じやすい人の特徴
同様の脱毛施術を行っても痛みを感じやすい人もいれば、あまり感じない人もいます。
そこで、脱毛時に痛みを感じやすい人の特徴について説明します。
毛が太い・濃い
脱毛機から照射されるレーザーや光は黒いものに反応するため、毛が濃かったり、太かったりすると、黒い部分の面積が大きくなるのでより多くの熱が発生します。
一方、体毛は皮膚を守る役割があり、皮膚が弱い部分ほど、濃くて太い毛が生える傾向にあります。
つまり、毛が太くて濃い人にレーザーや光を照射すれば、通常よりも敏感な肌に強い刺激を与えることになり、激しい痛みが生じやすくなるというわけです。
肌が乾燥している
人間の肌にはバリア機能が備わっており、それによって外部の刺激から身を守っています。
ところが、肌が乾燥すると、その機能が低下してしまうのです。
そして、肌が弱っている状態のところに、レーザーや光の刺激を与えれば当然、痛みを感じやすくなってしまいます。
そのため、乾燥の程度によっては施術を断るクリニックやサロンもあるほどです。
肌が白い・黒い
色黒の人の場合は、光やレーザーが肌の色素に反応してしまうので、当然、痛みを感じやすくなります。
一方、肌が白すぎると、体毛と肌との色素差が大きくなり、それが原因で刺激を受けやすくなる場合があります。
基本的に白い肌は脱毛に適しているのですが、色白になりすぎた場合には少し注意をしたほうがよいかもしれません。
また、傷跡がある部分も色素沈着を起こし、レーザーや光が強く反応してしまうので、痛みが生じやすくなります。
そのため、日焼けなどであまりにも色素が濃くなっていたり、傷跡が残っていたりする部位に関しては、施術そのものを断られてしまうケースもあるのです。
脱毛の痛みを軽くするには?
クリニックやサロンでの脱毛は、場合によってかなりの痛みを伴います。
そのため、痛みを軽減する方法を事前に把握しておくことが大切です。
そこで、具体的な方法を「クリニック・サロン側に対応してもらうこと」と「自分でできること」の2種類に分けて説明します。
クリニックやサロンで対応してもらうこと
まず、クリニックやサロンにお願いして対応してもらう痛みの軽減方法ですが、これに関しては代表的なものとして、3つの手段が挙げられます。
冷やす
脱毛の痛みというのは、照射した光や熱が毛根の周辺に伝わることで引き起こされます。
逆にいえば、事前にしっかりと冷やしておけば、熱が伝わりにくくなり、痛みを和らげることができるわけです。
クリニックやサロンによっては施術前だけでなく、施術中も照射直前に冷やすなどの対応が可能な場合があります。
また、施術後に冷却を行えば照射による炎症をより効果的に抑えることができます。
まずは事前に連絡をして、そういった対応が可能かを確認しておきましょう。
機器の出力を下げる
施術中にあまりにも強い痛みを感じ、どうしても我慢できない場合があります。
そういうときには、スタッフに事情を話して出力を弱めてもらうのが賢明です。
もちろん、そうすることで脱毛効果が低下する可能性はありますが、痛みで続けられなくなるよりは良いはずです。
また、次回以降の施術に不安を感じないためにも、医師やスタッフに相談して、今後の脱毛スケジュールや出力を調整してもらいましょう。
クリーム麻酔を塗る
痛みがひどい場合には麻酔を使うのもひとつの手です。
具体的には、照射部分に麻酔クリームを塗って痛みを和らげるわけです。
また、クリームのほかにも、吸入することで痛みを感じにくくする笑気ガスなどもあります。
ただ、麻酔は医療行為になるため、脱毛サロンなどでは対応することができません。
一方、クリニックで麻酔の使用を希望する場合には、カウンセリング時に医師に伝えて対応してもらうという形になります。
自分でできること
痛みを少しでも和らげようと思えば、クリニックやサロンの対応に頼るだけでなく、自分で対策を立てておくことも大切です。
その代表的なものとして、こちらも3つの方法について解説します。
肌を保湿しておく
肌が乾燥していると痛みを感じやすくなるため、普段から保湿を心がけておくことも有力な痛み対策になります。
具体的には、保湿クリームやボディクリームなどをお風呂上りか、就寝前に塗るのがベストです。
ただ、施術当日にクリームを塗ると脱毛効果が低下するおそれがあります。
当日にクリームを塗ってもよいかなどは事前にクリニックやサロンに確認し、その指示に従うようにしましょう。
当日はカフェインを控える
施術当日はカフェイン入りの飲み物は控えるようにしましょう。
なぜなら、カフェインには神経を過敏にする働きがあるため、痛みに対して敏感になってしまうおそれがあるからです。
コーヒーや緑茶、栄養ドリンクなどは口にしないようにし、どうしても飲みたい場合はカフェインレスのものを選ぶのが無難です。
痛み止めを飲んでおく
脱毛の痛みに対しては、痛み止めが効果を発揮する場合があります。
また、直接的な効果がなかったとしても、予防として飲むことで施術中の痛みが軽くなったと感じる人もいます。
実際に痛み止めを使用する場合は、施術中に効き目が出るように、数時間前に飲んでおくことがポイントです。
ただし、事前に医師やサロンのスタッフに相談してから使用するのを忘れないようにしましょう。
痛いのが当たり前じゃない!痛みが軽減できれば脱毛は怖くない
脱毛の方法にはいくつかの種類があり、それぞれ仕組みや施術時の痛みの程度は異なります。
また、医療レーザー脱毛は永久脱毛が可能であるのに対して、エステや脱毛サロンの光脱毛は発毛を抑えることはできるものの、永久脱毛ではないといった違いもあります。
そのため、脱毛を検討する際にはそれぞれの特徴を理解し、痛みの大小を含め、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
ただ、同じ脱毛法であっても、痛みを感じやすい部位や感じ方は人によって異なります。
そうしたなかで、施術時の痛みを減らすために、クリニックやサロンではいろいろな工夫をしてくれますし、自分で対策をすることも可能です。
このように、痛みが抑えられる事実がわかれば、不安も軽減されるはずです。
痛み対策への理解を深めつつ、脱毛について前向きに考えていきましょう。